離婚の危機に瀕する(瀕した)二組の夫婦を取り巻く人間関係が入り乱れる群像劇。
この劇、去年舞台Wellsを見に行った時に貰ったパンフレットの中に宣伝パンフが入っていまして、当時人間関係について悩んでいたのもあり新たな知見を求めて見に行くことにしました。
結果、これは見に行って大正解でした。いい意味で期待を裏切る素晴らしさ。
観劇前は、離婚の危機に瀕した夫婦がお互いの状況を見つめあい「愛は素晴らしい」と再度理解することで復縁するようなストーリーなのかなと想像していたのですが、そんな浅い想像をしていた自分が情けなくなるくらい人間の様々な価値観を目にすることができました。
特に、夫が帰ってこないと分かっているのに苑子さんは信じて待ち続けるシーンが自分と重なってとてもつらかったですね。
「幸せの形は人それぞれ」という言葉が何度も登場しますが、その度に違う気持ちを抱えた人が語り手になるのがとてもよかったです。結婚だけが幸せじゃない、結婚できないのはスーパーの売れ残りと同じだ、など、とてもリアルに演出されていて、かつ熱量がすごい(語彙力)。登場人物も皆ちゃんと自分の信念に従って動いていて、例えば卓真さんなどは中途半端に改心をするようなこともなく、ご都合主義的な展開にもならずダークな雰囲気がありつつもドロドロしすぎない作品となっていたのが最高でした。あと最近私アランの幸福論を読んだのですが、作中でアランの幸福論が引用されていて不思議な気持ちになりました。人間関係に悩む人はアランの幸福論を読んだ方がいい。
また、苑子さんの親友の幸奈さん。幸奈さんのキャラがとても痛快で心強かったです。私の時にもあんな感じで親身になってくれる友人が欲しかったなぁ、と観劇中目頭を熱くしていました。
他にも色々書きたいことがあった気がしたのですが、自分語りに脱線するのもアレなのでここまで書いて一旦終わりにしようと思います。
自分の価値観に溺れてこの世の人間関係に絶望していましたが、新たな視点を手に入れることができたように感じることができました。もう少し頑張って生きたいです。
素晴らしい公演をありがとうございました。