<<この記事は2017/04/19に投稿した記事となります>>
ムビマス終盤の春香に抱いた違和感について考えた話。
ムビマスで春香はリーダーに任命され、周りからのプレッシャーや何故自分がリーダーなのかという疑念と戦いつつ最善手を模索していきますが、最後の志保との問答の中で
「ステージを成功させることよりも一人の人間の気持ちを優先させる(意訳)」と言い切ります。
ここに至るまでも春香は「気持ちを確かめることが優先」と発言していますが、まさか最終判断として仕事の成功より個人の意思を優先させるとは思っていなかったので初見で面食らってしまいました。
そうして長らくこの最後のシーンに強い違和感を抱いていたのですが、最近プラチナスターズを終えて改めてこれまでを振り返ったところ、あの時春香が何を考えていたのか何となく見えたような気がしました。
というのも、これまたベースはアケ無印になるのですが、春香は自分の気持ちを散らせた過去があるんですよね。それが心の傷として残っているからこそ重要な局面で自分と可奈を重ね合わせてしまったのではないかと。
実際、ムビマスにおける春香の迷いが消えたのは姿を消した可奈と電話がつながった時でした。
あそこで本人の気持ちを聞き本心を知り、かつての自分を投影した春香が仕事を投げ出してでも可奈のために奔走した。そう考えると春香の行動原理が理解できるような気がします。他の仲間から口々に「春香の答えをまだ聞いてない」と言われていたのも、それを強調するに足る要素だと考えます。
また、その要素と繋げて考えると後に続く「私は、天海春香だから」という言葉にも一層深み、重みが出るのかもしれないなと。
ただ、ムビマスは結果としてアリーナライブを成功させることができましたが、普通だったら20人近くも参加するも大切なライブ直前で仕事より私情を優先させるなんて言語道断、絶対に止めねばならないところだと思っています。
あの世界にいるのは我々ではなくアニメPのみなので
むずがゆさを感じるところではありましたが、同時に「やっぱり春香は私がいないとダメダメだなぁ」とある意味微笑ましくもなりました。Pの数だけアイドルがいる、というのを強く感じましたね。
さて、自分が傷ついた経験を強く胸に刻みそれを他人に味わわせまいと振る舞うことができる春香ですが、ムビマスから続いたOFAでは春香の本心という部分から焦点が外れ、純粋に人に夢を与えるアイドルとして、そしてひとりの人間としても平和的な結末を迎えることができました。SPからネガ春香という呼び方をされたこともありましたが、OFA春香はこれまでの作品の中ではもっとも伸び伸びと活動することができたかな?という印象を持っています。
で、プラチナスターズ。
OFA本編がやや平和的に終わったのに、まさかここでアケ無印を蒸し返されるとは思いませんでした。上記ムビマスのことを考えるきっかけとなったのがプラチナスターズのSランクコミュでした。
このコミュを見た人は分かるかと思いますが、春香が想いを口にするシーン、春香はずっと泣きだしそうな顔をしていました。
この春香が「あの時の記憶」を持っていると仮定するとこれ以上残酷なことはないですよね。春香が言いたかったことは「プロデューサーのことが好きかもしれないと思ったこともあったけど、プロデューサーがずっとプロデューサーとして接してくれたからずっと同じ夢を追い続けられた」
ということだと私は解釈しています。だからこのコミュは衝撃だった。
話が脱線しそうなので戻します。
あの頃と同じくアクションの方向は春香⇒Pですが、無印と大きく違う点として、春香はこの時点で既に自分の想いに整理を付けているんですよね。それはなぜかと考えた時に思い浮かんだのが、最初に書いたムビマスの一連のくだりでした。
私は「春香は自分が感じたことを他人に重ねてしまう節がある」と感じており、そういう意味で春香は良くも悪くも自分の価値観が第一という思いがあるのではないかと思っています。
もちろんそれをあからさまに押し付ける描写は無いのでこじつけの域を出ませんが、それこそ自分が価値観を押し付けられた際のことを想定していたとしたら、などと考えてしまうんですね。
要するに「自分がされて嫌だったことを他人に絶対しない」というのが強く表れている女の子だと。
この「自分がされて嫌だったことを他人に絶対しない」という意志が根底にあるとするならば、そして「天海春香」が常に一番最初の記憶を保持しているとするならば、ムビマスで起こした社会人としてリスクが大きすぎる決断とプラチナスターズでの発言、表情全てに説明が付くのではないかと気づいたという話です。
一番最初に理想だけでは上手くいかないことを身を持って経験したくせに、その事実から目を背けて当時受けた心の傷を癒すために他人に自分を重ねてしまう。そして仕事に与える影響への考慮が足りていないところまで「一番最初」と同じ。
綺麗事だけでは生きていけない。理想を掲げる春香が見つめる先ははやはり「人間としての幸せ」なのか。
16歳、17歳の女の子が独りで答えを出すのは困難だと思います。
しかし、「春香のプロデューサー」はその答えを出す手伝いはできないんですね。
今回もどうしようもなく交差してしまう。
春香の考察はいつも重い。